創業融資コンサルは利用した方がよい?コンサルの質を見分けるポイントも解説

創業融資は、起業時の資金調達に役立つ制度ですが、中には「自分では難しいのでコンサルにサポートをお願いしたい」とお考えの方も少なくないと思います。

しかし、しっかりした知識がないと「本当にコンサルを頼むべきなのか?」、「誰に頼めばよいのか?」を見極めるのが難しいといえます。

この記事では、創業融資コンサルの必要性や、その選ぶ基準・注意点について解説いたします。

目次

創業融資のコンサルとは?

「創業融資コンサル」とは、主に創業融資制度の選択や申込みの準備、事業計画書の作成などについて、アドバイスやサポートをすることをいいます。

しかし、コンサルタントによっては、サポートする内容や範囲が異なる他、いつ依頼をするかによっても受けられるサービスの内容が異なります。

創業融資コンサルの主なサポートの内容

創業融資コンサルタントが行う主なサポートの内容としては、次のようなものがあります。

依頼者の状況の確認

コンサルタントは、コンサルのはじめの段階で

・依頼者の状況や職業に関する経歴

  • これから行う事業の内容
  • 自己資金に関する事項(資金の有無やその額、貯めた経緯)
  • 個人情報の状況
  • 希望する融資額や利用する金融機関

などについて依頼者からヒアリングします。

そしてそのうえで、「条件に合う融資制度があるか?」、「融資が通る可能性はあるか?」などの見込みを立て、本人にその結果にもとづいたアドバイスをします。

そのため、もし、申し込みの条件が整わない、計画の内容に問題があるといった場合には、この段階で本人にそれを伝えて、申込みをあきらめてもらうこともあります。

なお、内容に問題がない場合には、この時点でコンサル契約を締結するのが一般的です。

申込み可能な融資制度のアドバイス

ヒアリングをした結果、引き受けが可能と判断した場合には、具体的な融資制度の紹介をします。

通常、融資制度のメインとなるのは、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」となりますが、資本性ローンや信用保証協会の制度融資など、他にも申込みが可能な制度がある場合にはあわせて提案します。

 

なお、この手続きは、はじめのヒアリングの際に同時に行うことも少なくありません。

また、依頼人が補助金等の申込みを希望している場合には、この時点で補助金等に関するアドバイスも行うのが普通です。

融資手続きの説明や準備に関するアドバイス

どの融資制度を利用するかが決まったら、その融資に関する手続きや今後にすべき準備、必要書類などについてアドバイスします。

また、この時点では創業者の方のビジネスプランが完全に固まっていないことや、その内容に不備があることが少なくないため、その場合はこれらに関する指導も行います。

 

創業計画書の作成のサポート

ヒアリングや必要書類の準備ができたら、創業計画書の作成のサポートを行います。

サポートの内容は、依頼者本人が作成した計画の修正や追加となりますが、ケースによってはコンサル側でおよその計画を作り、本人に確認してもらうという方法をとる場合もあります。

 

面談に関するアドバイスやロールプレイなど

日本政策金融公庫をはじめ、ほとんどの創業融資では、金融機関による面談が行われます。

金融機関との面談では、日本政策金融公庫のようにコンサルの同席が認められることもありますが、信用保証協会の制度融資のように本人以外の参加を禁じられることもあるため、基本的には一人でも対応できるようにレクチャーします。

 

また、具体的なサポート内容としては、本人に対応マニュアルを渡してその内容を覚えてもらう方法の他、実際に面談を想定したロールプレイを行うケース、その両方を取り入れるケースなどがあります。

なお、コンサルによっては、上記以外に以下のようなサポートも行っています。

会社の設立に関するサポートや登記手続きの代理

創業時に会社の設立をするときや、個人事業から法人成りをする場合には、法人の設立登記が必要となりますが、この手続きに関するサポートを行うこともあります。

ただし、会社の設立手続きにおいて、定款の作成ができるのは行政書士、登記申請の代理をできるのは司法書士と法律で定められているため、資格がないコンサルがこれらの行為をするのは違法となります。

 

会社の設立や法人成りをする場合の税務手続き

会社の設立をするときには登記手続きだけでなく、開業届の提出や個人事業から法人への資産の移転といった税務手続きも必要となりますが、これらの手続きを行うことができるのは税理士となります。

企業の記帳会計手続きの代理

コンサルの中には、起業後に発生する記帳や申告書の作成についてもサポートをするケースもあります。

なお、記帳業務は誰でもこれをすることができますが、決算書の作成や提出をするには税理士の資格が必要となります。

 

許認可取得の代理

事業をするために許認可が必要となる場合には、その取得のサポートや申請の代理手続きを行うコンサルもいますが、基本的に許認可の取得の代理をすることができるのは行政書士となります。

資格のないコンサルがこれらの行為をすることは禁じられています。

補助金や助成金の申請のサポート

最近では、創業者が利用できる補助金や助成金の申請手続きについて、サポートをするコンサルも増えています。

しかし、厚生労働省およびそれに関連する役所が主催する補助金や助成金の申請の代理をすることができるのは社会保険労務士だけとなっています。

 

売上げの獲得や販売促進に関するサポート

コンサルの中には、創業者の事業に関する経営指導や売上げの獲得、集客などに関するサポートを行うコンサルもいます。

依頼者は飲食店で開業する方に多いイメージです。

コンサルに依頼した方がよいタイミング

コンサルにサポートを頼む場合には、そのタイミングも重要となります。

通常は、融資申込前に依頼をする方が多いですが、次のような場合にはそれよりも早く相談することをおすすめします。

融資申込みまでの時間がない

融資の申込みをするためには、さまざまな確認や必要書類の準備、創業計画書の作成などが必要となるため、準備開始〜融資が出るまでには約2ヶ月程度の時間がかかります。

 

しかし、創業計画書の作成に慣れていない場合にはそれ以上の時間が必要となることから、そのような方については、計画の準備の段階でコンサルに相談や依頼をした方がよいでしょう。

事業に許認可の取得が必要

事業に許認可が必要となる場合には、その取得に必要となる時間も考えておく必要があります。

例えば、一般的な建設業の許可の取得にはおよそ2ヶ月程度の時間がかかりますが、この許可が下りるまで融資の資金は金融機関に保留されてしまいます。

したがってこのような場合には、融資と許認可取得の両方についてコンサルのアドバイスを受けるようにすると間違いがありません。

融資のために会社を設立する予定がある

創業時に会社の設立をしてから融資の申込みをする方は多いですが、その会社の内容に問題がある場合には融資が不可になったり、審査で不利となってしまいます。

 

たとえば、会社の目的の中に風俗営業や金融関連のものが入っている場合には、それが原因となって融資が通らないことがあります。

また、一部の地区の信用保証協会ではレンタルオフィスでの開業を認めていないケースもあります。

しかし、会社の設立をした後にこれらに気づいても、変更のための費用がかかるだけでなく、計画自体を変更しなければならないこともあるため、できれば会社の設立前の段階でアドバイスを受けることをおすすめします。

創業融資コンサルを使った方がよい理由とデメリットとは?

創業融資コンサルは、はじめて創業融資を利用する方にとっては心強い存在ですが、ケースによってはデメリットとなることもあります。

そのため、メリット・デメリットをよく考えて活用しましょう。

コンサルを使うメリット

希望額を獲得できる可能性が高くなる

融資コンサルを利用することの最大のメリットは、「希望額に近い金額を獲得できる可能性が高まる」ということにあります。

創業融資は細かな要件が多いだけでなく、手引き等に書かれていない申請のコツのようなものもあります。

例えば、事業経験は3年以上あった方がよいとか、もらったお金は自己資金と認められるなどがこれにあたります。

そのため、これらのポイントを熟知したコンサルのサポートを受けられれば、自分の希望に近い額の融資を獲得できる可能性が高まります。

最適な資金調達先を紹介してもらえる

通常、融資コンサルは融資などに関する豊富な情報を持っているため、複数の融資や資金調達先を紹介してもらうことが期待できます。

 

代表的な創業融資としては、日本政策金融公庫の新創業融資制度がありますが、それ以外にも制度融資や政府系のファンドを紹介してもらえることもあります。

また、同じ金融機関で複数の創業融資制度がある場合、依頼人の状況にあった、最適なものをアドバイスしてもらえます。

創業に関する全般的なアドバイスが得られる

創業融資のコンサルには有資格者やさまざまな経験をしている方が多いことから、融資だけでなく創業に関する全般的なアドバイスをもらいやすくなります。

 

コンサルを使うデメリット

依頼するのに費用がかかる

創業融資のサポートをコンサルに依頼する場合には、一定の費用がかかります。

費用の設定はコンサルによりますが、主に次の3つの方法があります。

① 定額でサポートするケース

② 成功報酬制でサポートするケース

③ ①と②の併用のケース

いずれにしてもコンサルに業務を依頼する場合には一定の費用が発生するため、事前に費用額や支払いのタイミングの確認をした上で、依頼するかどうかを決めましょう。

 

希望する専門領域が異なる場合がある

創業融資には、日本政策金融公庫だけでなく、制度融資などもありますが、そのコンサルタントがどちらを得意とするかによっても成功率が変わってきます。

また、事業計画書の作成についても、数字づくりに強い、文章部分が得意、ビジネスプランの組み立てがうまいといったそれぞれの特徴があるため、場合によっては自分が希望するサポート内容とずれてしまうことがあります。

このようなことにならないためには、まずはヒアリングの時点で自分の希望を先に伝え、コンサルの強みとあっているかを確認することが必要となります。

 

ノウハウが残らない

融資コンサルにサポートを依頼した場合には、コンサル主導で計画の作成や手続きが進みがちですが、あまりコンサルに任せきりにしたのでは自分にノウハウが残らないこととなってしまいます。

したがって、次回以降の融資を自分でするのであれば、コンサルに任せるだけでなく、自分でも率先してノウハウを吸収する必要があります。

 

創業融資で活用したい支援先について

民間のコンサルタント以外にも、多くの創業融資の支援機関がありますが、それぞれで特徴が異なります。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府系金融機関の一つであり、最も創業者に利用されている融資先の一つとなります。

日本政策金融公庫では、融資だけでなく全国152支店に「創業サポートデスク」を設置し、ビジネスプランや事業計画の作成、資金調達などの相談に対するサポートや、オンライン・電話による対応も行っています。

 

したがって、創業融資をお考えの方は、まずは日本政策金融公庫の相談窓口に相談されることをおすすめします。

商工会議所

商工会と商工会議所は、個人事業主や中小企業の経営相談や融資の斡旋、記帳指導、人材採用のサポートなど起業に関するさまざまな相談やサポートを行っている機関です。

 

なお、商工会と商工会議所とでは、商工会が主に町や村を、商工会議所は市や区を管轄エリアとしているという違いがありますが、行っている業務の内容はほぼ同じです。

商工会等では各種相談を無料で行っていますが、相談を受けるためには会員となって一定の会費を支払う必要があります。

 

ミラサポ

ミラサポとは、中小企業・小規模事業者に、中小企業支援施策を「知ってもらう」「使ってもらう」ことを目指し、制度の検索機能や、各制度の説明や申請方法を案内する、中小企業庁のweb相談窓口です。

 

ミラサポに掲載されている各種コンテンツは、無料で閲覧することができます。

ただし、補助金・助成金の支援や専門家によるコンサルティングなどを受ける場合には、会員登録を行う必要があります。

資格保有の専門家

司法書士・行政書士・税理士等の国家資格をもった専門家は、それぞれの専門分野に関する相談への対応をしています。

また、各士業者は司法書士会、行政書士会などの団体に所属していますが、これらの会でも相談を受け付けています。

士業団体への相談は無料ですが、個別の士業者への相談については有料が原則のため、あらかじめ費用の確認をしてください。

 

失敗しないための創業融資コンサルの選び方のポイント

創業融資のコンサルタントにサポートを依頼する場合には、広告などに書かれた宣伝文句だけを鵜呑みにするのではなく、「本当に書かれている実績があるのか?」や、「料金や相性に問題はないか?」についても確認しておかないと、思わぬトラブルとなります。

宣伝の内容や数字を確認する

融資コンサルタントの中には、売上げや実績を実際のものより誇張しているケースも存在します。

 

たとえば、「100%成功と表示している」、「本来とはかけ離れた実績数を表示している」などの例がよく見受けられます。

また、はじめから「難しい案件のサポートをしない」、「依頼を断る」などにより、実績を落とさないようにしているところもあります。

したがって、コンサルタントを選ぶときには、ホームページの記載だけを信用せず、実際に融資が入金された通帳や契約書といった証拠を公開しているかにも注意しましょう。

 

本当に実績があるかを確認する

コンサルの中には、まったく実績がないにも関わらず、いかにも実績があったような書き方をしているケースも見受けられます。

この点については確認が難しいですが、どんな業種でいくらくらいの成功事例があるのか程度は確認するようにしましょう。

 

料金が法律の範囲内か確認する

コンサルタントが融資のサポートをする場合は、「出資法」という法律により5%以上の報酬を請求することが禁じられています。

 

したがって、この額を超えるコンサルは違法となりますので注意してください。

ただし、補助金・助成金のサポートについては、出資法の対象外となるため上限がありませんが、10〜20%前後の成功報酬というのが一般的です。

必要な知識があるかを確認する

創業融資のコンサルに必要な知識ノウハウには様々なものがありますが、そのすべてを持っているという人はいません。

そのため、「融資だけでよいのか?」、「開業後のサポートも必要なのか?」といった、最も自分が必要とするノウハウがあるかを確認する必要があります。

 

人柄や相性を確認する

コンサルタントを選ぶ際には、どんなに能力があっても、気が合わない、人柄に問題があるといった場合には、依頼を見送ることも必要です。

このような場合には、十分な意思疎通ができず、方針などでも対立しがちとなります。

とくに、相談をしてみて誠実さが感じられない、説明の内容につじつまが合わないといった場合には、依頼を避けた方がよいでしょう。

まとめ

創業融資では、どのようなコンサルタントを選ぶかにより、結果に大きな違いが生じます。

コンサルの質が良い場合には希望額の獲得がしやすくなりますが、中には、悪質なブローカー的なコンサルもいるため注意が必要です。

コンサルティングで重要なのは、提案力と問題解決能力です。

そのため、資格や経歴に惑わされず、メールや電話などにより具体的な実績や方針を確認するようにしましょう。